ラーメン店開業のポイント

ラーメン店は比較的小人数で来店し、滞在時間が短く回転率が高い業態です。オフィス街でビジネスマン向けにランチタイムを狙った店舗にするか、ファミリー層やグループ向けにテーブル席を設置した店舗にするか、富裕層向けに高級な食材を使用し、個室でも食べられるような店舗にするか。ターゲットによって厨房を含めたレイアウトが大きく変化します。

通常の飲食店舗の客席は1.5席/坪が目安ですが、回転率の高いラーメン店のような業態は2席/坪で設計をします。ビジネスマンをターゲットとした場合は、カウンター席をメインにテーブル席を極力減らし、効率よく配膳と下膳ができるよう厨房のレイアウトを含め検討します。ファミリーやグループ向けをターゲットとした店舗の場合は、カウンターの他に2~4人掛けの可動式のテーブルを選定し、人数に合わせてテーブルを移動させ稼働率の低下を防ぐことをお薦めしています。

油、出汁、粉など店内は不衛生になりがちです。清潔に保てるような設計、内装材の選定が必須となります。

厨房の床材は水性硬質ウレタン系塗床をお薦めしています。耐薬品性、耐油性、防滑性や耐摩耗性にも優れ長くご使用いただけます。熱にも強く、湯切りも気にせず行えます。 ホールの床は長尺シートまたはフロアタイルをお薦めします。耐久性、耐水性に優れ、比較的安価でデザインも豊富です。

厨房内の壁にはケイカル板をお薦めします。耐熱性、防汚性に優れ傷もつきにくい素材です。ポイントでタイルを使用しポップでおしゃれな空間を作ることも可能です。ホールは安価に抑えるのであれば耐摩耗性や消臭や抗菌、防汚効果のあるビニルクロス貼がお薦めです。塗り壁は和やナチュラルな雰囲気を演出しやすいですが、耐久性に優れないなどのデメリットもあります。

テーブルなどの什器は耐久性の高い化粧板、椅子の張地は合皮などのビニル製品を使用し、掃除がしやすく衛生的な素材を選びます。

東京都武蔵村山市学園の新青梅街道沿いにオープンした『横浜家系ラーメン町田商店武蔵村山店』様の店舗設計、施工に携わらせていただきました。新青梅街道の整備事業のため道路幅員が30ｍに拡がる関係で、現在の道路から6ｍ程後退する土地に設計をしなければならず、どのように配置するのが最も視認性が高いかをさまざまな角度から検証しプランを練りました。建物は工期の短縮やコストの低減を図る等の観点からシステム工法を採用しました。外壁は窯業系サイディングの黒を使用し、看板に使用する赤と白の文字がよく映えとても美しい仕上がりです。内外の看板に書かれた文字は全て手書きです。専門の職人さんが現場で一文字、一筆丁寧に描いていきます。

I型の厨房は省スペースながら厨房機器が機能的に配置され、配膳、下膳の動線も交わることなく無駄のない設計となっています。客席は46席、6人掛けのテーブル席が4セット、2人掛けのテーブル席が5セットありご家族、グループでお越しのお客様もゆったりと会食いただけます。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ラーメン業界も大きく売上げが減少する中で、弊社が施工をお任せいただきました横浜家系ラーメン 町田商店様は宅配、持ち帰りサービスに迅速に対応したことや企業努力で、増収を続けているという結果を伺いました。こだわり貫いた味を守るために、時代の変化に順応できる対応力、行動力が必要になることを実感しました。